シンガポール特許の新規性
Singapore Patents Act Section 14を読んでみた。これは、[UK Patents 1977, s. 2]から持ってきたものである。大雑把に意訳すると
14. (1) 発明は、従来技術の一部でない場合、新規性を持つ。
(2) 発明における従来技術とは、発明の優先日よりも前の時点において、書面や口頭、使用等により公開されたもの全部のこと。
(3) 発明における従来技術とは、発明の優先日かその後に公開された他の特許出願に含まれる内容も含まれる。ただし、以下の条件を満たす場合に限る。
(a)その内容が、他の出願の出願・公開の際に含まれていること。
(b)優先日が本発明の優先日よりも前であること。
(4) 以下の開示が行なわれてから12ヶ月以内に出願した場合、その開示は上記の開示(従来技術)には含まれない。
(a) 開示が不法行為によるもの、または機密漏洩によるものである場合。
(b)開示が発明者から得た機密情報の漏洩により生じた場合。
(c)国際的な展示会において発明を展示することにより、発明者が開示した場合。この場合、所定の期間内に証拠を提出する。
(d)学会で本人若しくは他人が読み上げる論文、又は学会の手続きで出版される論文に、発明者が発明を記載した結果開示となる場合。
(5) 学会とは、学習又は科学の促進を主目的とする、シンガポール又は他の国で設立された組織である。
(6) ここで発明者には、発明の所有者を含める。
(7) 人体や動物を治療、診断する方法に使用する物質・化合物からなる発明の場合、そのような方法においてそのような物質・化合物を使用することが従来技術でない限り、そのような物質・化合物が従来技術を形成する事実は、発明の新規性を妨げない。
そういえば14(3)に関して以前問い合わせがあった。自分の発明よりも優先日が前だけど、出願時にまだ公開されてないものの扱いについてである。この法律で特許出願と呼んでいるのはシンガポールの特許出願なので、他国で出している物は無関係。そんなわけで、優先日が前の出願がシンガポールに入ってきているならば先願として扱われ、新規性判定に使用される。しかし、シンガポールに入ってきていないならば、先願ではないので特に問題にならない。後願排除効は、シンガポールに入ってきているかどうかで決まるということである。