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Singapore Patents Act s29

29.

(1) 特許の出願が方式的要件を全て満たしている場合、登録官は出願人に通知を送る。

(2) 出願人は、以下の段落の所定の期間内に、以下の段落のそれぞれの要件を満たさなければならない。

(a)出願がPCT国内段階移行ではない場合、調査のための所定のフォームを提出し、費用を払う。

(b)調査及び審査のための所定のフォームを提出し、費用を払う。

(c)対応外国出願が、所定の特許庁に提出されている場合、

(i)(A)対応外国出願に関する調査報告書

(B)調査報告書が英語ではない場合、調査報告書の英語翻訳文

(C)所定の書類。規則により要求されている場合、英語ではない書類の英語翻訳文

(D)所定のフォームにより審査請求を提出し、審査請求費用を支払う。または

(ii)(A)所定のフォームで対応外国出願に関連する所定の情報、

(B)所定の情報に英語ではない書類が含まれる場合、その書類の英語翻訳文

(d)対応国際出願が出されている場合、

(i)(A)対応国際出願に関連する国際調査報告書、

(B)国際調査報告書が英語ではない場合、国際調査報告書の英語翻訳文、

(C)各所定の書類、規則により要求されている場合、英語でない書類の英語翻訳文

(D)所定のフォームで審査請求を提出し、所定の審査請求費用を支払う。

(ii)(A)所定のフォームで、対応国際出願に関連する所定の情報

(B)所定の情報が英語でない書類を含む場合、このような書類の英語翻訳文

(e)出願がPCT国内段階移行の場合

(i)(A)当出願の国際調査報告書

(B)国際調査報告書が英語でない場合、国際調査報告書の英語翻訳文

(C)所定の書類。規則により要求されている場合、英語ではない書類の英語翻訳文

(D)所定のフォームで審査請求を提出し、所定の審査請求費用を支払う。

(ii)当出願の特許性に関する国際予備審査報告に従うという出願人の意図を所定のフォームで通知する

(3) 出願人が(2)(a)に従って調査の請求をし、費用を払った場合、登録官は

(a)関連する先行技術を見つけるために、出願が審査官によって調査されるようにする。先行技術は、

(i)所定の文書

(ii)審査官が気づき、関連すると見なした追加の文書を含む。

(b)審査官により準備された調査報告書を受領すると、速やかに出願人に通知し、調査報告書をコピーを送付する。

(4)  登録官から調査報告書を受領すると、出願人は所定の期間内に、所定のフォームによって、所定の費用とともに審査請求を申請する。

(5)  出願人が審査請求を申請して、所定の費用を支払う場合、登録官は、

(a)審査官によって出願が審査されるようにし、その際、

(i)13条、25条4項、5項の規定を満たすか、

(ii)出願が84条1項にある新規事項の追加に該当するか、

(iii)出願が、出願時の開示範囲を超えているかが審査されるようにし、その際、調査報告書や国際調査報告書において審査官が見つけた全ての関連する従来技術を考慮する。

(b)審査官により準備された審査結果を受領すると、出願人に遅滞なく通知し、審査結果のコピーを送付する。

(6) 出願人が調査及び審査の請求をし、費用を払った場合、登録官は、

(a)以下の調査及び審査が行なわれるようにする。

(i)審査官による調査は、関連する従来技術を見つけるものであり、従来技術には、

(A)所定の文書、

(B)審査官が関連すると見なした追加の文書が含まれる。

(ii)審査官による審査では、

(A)13条、25条4項、5項の規定を満たすかどうか、

(B)出願が84条1項にある新規事項の追加に該当するかどうか、

(C)出願が、出願時の開示を超えているかについて、全ての関連する従来技術を考慮して審査されるようにする。

(b)審査官によって用意された調査及び審査報告書を受領すると、遅滞なく出願人に通知し、上記報告書のコピーを送付する。

(7)  

(a)2項の段落b、c(i)、(iii)、d(i)、(ii)、e(i)、(ii)又は

(b)4項の所定の期間内であれば、出願人は、所定のフォームを提出して費用を支払うことにより、所定の期間延長をすることができる。

 

シンガポールの特許手続きはよくややこしいと言われるが、きっとこの29条が主な原因だろう。そこそこ丁寧に読んだので一つずつ解説を書いていこう。

(1)方式審査。パリルートや直接出願、分割出願の場合、方式審査の結果が大体1-2ヶ月で出てくる。PCTの場合にはない。

(2)(a)これは13ヶ月期限の調査請求のこと。あまり意味がないし、費用が高くつくのでいつも無視してる。どうせ後で審査請求しなければいけないんだし。

(2)(b)これは21ヶ月期限の調査及び審査請求のこと。13ヶ月で調査請求をして、その後21ヶ月に審査請求をするより21ヶ月で調査及び審査請求した方が安いから、分ける意味ないんだけどなんで分けるオプションがあるのかなといつも思ってる。13ヶ月で請求した調査報告書が21ヶ月期限までに来なくて、調査結果を見ずに審査請求しなければならなかったりするので、ほんとうに意味わかんない。

(2)(c)(i)これは21ヶ月期限の対応外国出願の調査報告書に基づく審査請求のこと。

(2)(c)(ii) これは42ヶ月期限で対応外国出願の特許を提出して、審査なしで済ませること。

(2)(d)(i)これは21ヶ月期限の対応国際調査報告書に基づいて審査請求すること。正直あまり例がない。分割したときに親がPCTだったりすると使えるか。それかパリルートでシンガポール出願しつつPCTにも出した場合に使えるかも。

(2)(d)(ii)これが正直わからない。42ヶ月期限で対応するIPRPを提出して審査なしで済ませることなんだろうが、親出願のIPRPとかパリルートで入りつつIPRPを出すとか例がない。

(2)(e)(i)これはPCT出願で21ヶ月以内にISRを提出して、それに基づいて審査請求をするもの。実際には出願が大体30ヶ月でシンガポールに入ってくるので、21ヶ月には間に合わず、ブロック延長申請をして39ヶ月以内に行なう。

(2)(e)(ii)これはPCT出願で42ヶ月以内にIPRPを利用するよと言って審査なしで済ませるというもの。これが一番おすすめ。安いし早い。

(3)(a)(b)13ヶ月以内に調査申請をした場合、審査官が調査報告書を用意する。

(4)出願人は21ヶ月以内に審査請求をする

(5)(a)(b)出願人が審査請求をすると、審査官は13条(新規性、進歩性、産業利用可能性)、25条4項(実施可能要件)、25条5項(請求項の明確さ、単一性、サポート要件)、84条1項(新規事項の追加)について従来技術を考慮しながら審査する。

(6)(a)(b)調査及び審査請求をすると、上の両方をやってくれる。

(7)ブロック延長申請でスロートラックに移行できますよという話。