シンガポール知財ブログ

シンガポール商標出願の簡易調査・見積もりを無料で行っています。問い合わせはyosuke at accelseed.comまで

特許査定を受ける条件

30.

(1)4項に加えて、登録官は以下の条件を満たすとき、出願を特許査定する。

(a)所定の期間または延長期間より前に2項の条件が満たされる。

(b)3項の条件が満たされる。

(2)(1)(a)の条件は、

(a)全ての方式的要件が満たされる。

(b)登録官が以下の書類を受け取ること。

(i)29条3項の調査報告書と29条5項の審査結果、

(ii)29条6項の調査及び審査結果、

(iii)29条2項(c)(i)の調査報告書、29条5項の審査結果、それから調査報告書が英語でない場合には英語翻訳文、

(iv)29条2項(c)(ii)または(d)(ii)の所定の情報、所定の情報が英語でない文書を含む場合には英語翻訳文、

(v)29条2項(d)(i)又は(e)(i)の国際調査報告書、29条5項の審査結果、国際調査報告書がない場合はその英語翻訳文、

(vi)PCT出願の国内段階移行の場合、(ii)、(iii)、(iv)、(v)の代替として

(A)29条2項(e)(ii)に記載の通知、

(B)出願に関連する国際調査報告書、

(C)出願の特許性に関する国際予備審査報告、

(D)(B)または(C)が英語でない場合、英語翻訳文、

(c)特許査定のための所定の文書が提出されている。

(d)特許査定のための所定の費用が納付されている。

(3)(1)(b)の条件は、

(a)

(i)(2)(b)で登録官が受領した文書が、単一性の要件を満たしていると示している。

(ii)単一性の条件を満たしていない場合、出願人は、登録官に対して単一性の条件が満たされていると納得させる。

(b)

出願人が29条5項の審査結果、29条6項の調査及び審査結果、2項(b)(vi)の特許性に関する国際予備審査報告に依存する場合、特許査定を受ける書類を提出して特許料を納付する時点において、出願の各請求項が依存する報告書のうちの少なくとも1つの請求項と関連していて、その報告書の請求項は、

(i)審査されていて、

(ii)報告書において言及されている。

(c)

出願人が29条2項(c)(ii)の対応外国出願の所定の情報、又は29条2項(d)(ii)の対応国際出願の所定の情報に依存する場合、特許査定を受ける書類を提出して特許料を納付する時点において、出願の各請求項が少なくとも1つの請求項に関連しており、その請求項は、

(i)対応外国出願又は対応国際出願の所定の情報に含まれており、

(ii)新規性、進歩性、産業財産性の条件を満たすかどうかの審査を受けており、

(d)発明が13条2項の発明ではなく、

(e)

(i)同じ出願人または権利譲受者により出願された同じ優先日を持つ同じ発明に対する特許出願がない。

(ii)同じ出願人または権利譲受者により出願された同じ優先日を持つ同じ発明に対する先行特許がない。

(4)1項(a)の所定の期間内に、

(a)出願に関する控訴が裁判所に提出され、

(b)控訴中に出願人が期間延長を申請する場合、裁判所は期間延長することができる。

(5)(1)(a)又は他の延長期間までに2項の条件が満たされない場合、出願人は出願を放棄したものとみなされる。

(6)登録官が3項の条件が満たされていないと判断する場合、

(a)登録官は、拒絶に関する理由を述べた通知を出願人に送る。

(b)出願人は所定の期間内に登録官の拒絶に対して応答する権利を有する。

(c)登録官が拒絶を取り下げない限り、出願人は、登録官により指定された期間かつ84条の期間内に3項の条件を満たすように、所定の条件に従って明細書を補正すべきである。

(d)(c)の期間内に3項の条件が満たされない場合、出願人は出願を放棄したとみなされる。

この30条が昨年の法改正で大きく変わったところ。これは今運用されている古い方の法律。特許法は変わったけど特許規則がまだ変わってなくて、新しい法律はまだ運用されていない。これまではちゃんと審査されていれば新規性や進歩性がなくても特許にできたのだが、その部分が変わってNotice of Eligibilityなるものを受け取らない限り特許にできなくなる。

そういえば以前この条文に関連して、他のシンガポールの代理人が変なことを言ってるんじゃないかといってセカンドオピニオンを求められた。だいたい日本のお客さんが何か言って来るときって、よく勉強しているので十中八九お客さんが正しかったりする。根拠条文とか法解釈では特に。

30(3)(c)の

「特許査定を受ける書類を提出して特許料を納付する時点において、出願の各請求項が少なくとも1つの請求項に関連しており、」の部分。原文ではこんな感じだと

at the time the prescribed documents for the grant of the patent were filed and the prescribed fee for the grant of the patent was paid, that each claim in the application is related to at least one claim ―

このeach claim in the applicationがどの時点での請求項を指すのかというお話なんだろうなと話を聞いてピンと来た。

たしかこの日本のお客さんは、日本とシンガポールで出願して、日本で少し請求の範囲を狭めて特許査定を受け、その日本の結果に基づいてシンガポールで特許を受けたいと希望していた。極めて一般的なプロセスである。それに対してそのシンガポールの代理人は、シンガポール出願時の請求項と、日本で特許査定を受けた請求項が違うから無理って答えたらしい。この話を聞いたとき、お前は何を言ってるんだって正直思った。

 each claim in the applicationは出願の請求項であって、別に出願時の請求項ではないし、シンガポール出願時の請求項なんて特許査定時には何の関係もないだろうに。特許査定を受ける時点で出願の請求項が、依存したい他国の請求項の少なくとも1つと関連していればOKだし、いつもやってるプロセスなので、お客さんの理解で合ってますと答えておいた。シンガポールでは特許庁も特許事務所も人がよく辞めるので、担当者は運次第だし、変なことを言う奴は少なくない。