シンガポール知財ブログ

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VETを出し忘れたらどうするか

PCT出願が非英語で出されている場合、優先日から32ヶ月以内にVerification of English Translation(VET)なる翻訳者がサインした書類を提出しなければならない。普段は、お客さんに催促して送ってもらうわけだけれども、一件やってしまった案件があってその顛末を書こうと思う。

去年の年末に、30ヶ月期限ギリギリにタイとシンガポールに2件ずつ出してくれという依頼を受けた。タイはRO101や要約などのタイ語翻訳が必要だし、しかも紙で提出しなければならないので、シンガポールよりずっと大変。そんなわけでシンガポールはささっと電子出願をしてタイ案件にかかりきりになってしまった。お客さんから英語翻訳文を受け取ったがVETがついてないけど、気づかずそのまま出願して、数ヶ月経過。

7月末、特許庁からVETが提出されてないので延長申請とともに提出せよとの指示が来た。そういえば両方とも出してない、、と気づき、お客さんに送ってもらった。延長申請というと、基本的に月200ドル。この場合3月初めが期限だから5ヶ月延長で1000ドル。2件あるので2000ドル。そんなものお客さんに請求できるわけがない。

いや、そもそも翻訳文は期日前にきちんと提出してあるわけで、翻訳者による証明書という言ってみればどーでもいい書類が遅れただけで出願費用の数倍も払うとか馬鹿げてないか?ということを同僚と話し、とりあえずPF99でカバーレターに遅れてごめんよと書いてお金を払わずさらっとVETを提出してみた。

それで済んだかなーと期待していたのだが、忘れた頃にご丁寧に特許庁から手紙が来た。確かに書類は受け取ったが、2ヶ月という期限の後に提出されている。延長申請をせよとのこと。そこで具体的にどうやって延長申請するのかなと思って条文を読んでみた。VETを2ヶ月以内に出せというのは、特許規則のs86(4)(b)。延長について書いてあるのは特許規則のs108(1)と(2)と(3)。s108(2)と(3)にいろんな条項が列挙されていて、それに該当していたら所定の費用(200ドル/月)を払って、所定のフォームにより延長申請せよとある。s108(2)と(3)に列挙されているものに含まれていないものに関する延長はs108(1)に従うとのこと。

s86(4)(b)は列挙されているものに含まれていないのでs108(1)にしたがうということがわかった。s108(1)には費用やフォームについての言及はなく、書面での申請を行い、登録官の裁量により認めるかどうか決定すると書いてあった。社内のデータベースで先人の案件も確認しながら、かくかくしかじかの事情により提出し忘れてしまいましたがわざとじゃありません、5ヶ月の延長を許可してくださいますようよろしくお願いしますみたいな状況説明をPF99で提出した。

5ヶ月の延長を認めるという返事が来て一件落着と思いきや、もう一件の方も延長申請せよという手紙がきた。前に送った手紙の文面をほとんどコピーして延長許可よろしくと提出して今結果待ち。

そんなわけで、何が言いたいかというと、PCT出願を英語でしてくれたらありがたいなーということ。あと、くれぐれもVETを出し忘れない方がいい。だって面倒だから。