シンガポール知財ブログ

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シンガポールの特許法改正について

先日法案が議会を通ったわけだけど、その詳細について以下の記事がわかりやすかった。

http://www.ip-watch.org/2012/05/17/singapore-builds-patent-capacity-ahead-of-new-system/

主な改正点は2点。

・self assessmentからpositive grantに変更する。

・外国登録弁理士が外国出願業務をシンガポールで行える。

一点目は、特許査定の基準に関する変更である。これまで新規性、進歩性なしという審査結果だったとしても(単一性違反や請求項が不明瞭などという理由で審査されてない請求項は除外する必要があるが)特許料を支払えば特許査定になっていたが、この法案が施行されるとpositiveな審査結果が出ていない限り特許査定にできなくなる。なんということはない、他の国と似た様な方式になるだけである。これまでは特許の有効性に関して全部裁判に丸投げしていたけれど、どうせ審査結果で白黒ついているのでnegativeなものを特許庁の段階で除外するだけだ。でもまだ審査官を雇い始めたばかりなので、自国で審査を行うまでにはまだ1年以上かかりそう。

2点目は外国出願業務に関するもの。これまでは業として外国出願業務を行う場合も国内にいる約100人のシンガポール登録弁理士のうちの誰かを介してしてできなかった。でもこの改正が施行されると外国登録弁理士が事務所を開いて外国出願業務をすることができるようになる。シンガポール出願業務に関してはこれまで通り約100人のシンガポール登録弁理士の誰かを介して行う必要がある。でも実際のところシンガポール在住の人の発明を海外に第一国出願する場合には、セキュリティクリアランス手続きが必要になるので結局シンガポール登録弁理士に依頼しないといけないわけだが。

個人的な影響はあまりなさそう。1点目についてはこれまでもpositiveな結果じゃない裁判で簡単に取り消されてしまうので特許料払わないほうがいいですよとお客さんに言ってきたので、特に変更なし。2点目は別に日本の弁理士資格持ってないし、この国で日本出願ってほとんどないから関係なし。以上。