シンガポール知財ブログ

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シンガポールの特許審査官

前回こんなことを書いた。

現在シンガポール国内の審査官は40人体制だが、2020年までに審査官を200人に増やし、近いうちに全件シンガポールで審査する計画である。来週仕事でIPOSの人に会うので、その辺を少し聞いてみよう。

先週その話を聞いてきたのでここに書いておこう。1〜2ヶ月前に40人雇ったので現在80人審査官がいるそうだ。来年4月に更に20人加わるので来年は100人体制になるとのこと。一応2020年までに200人という数値は出ているが、実際のところ需要が読めないので、来年以降は調整しながら少しずつ人数を増やしていくと言っていた。

審査の質について、オーストラリアとイギリスから審査官を引き抜いてきたと書いたが、それは正確ではなかったみたい。オーストラリアとイギリスの審査官はConsulting Examinerとして来ているとのこと。期限はよくわからないけど。あと日本の特許庁からもConsulting Examinerが来るそうだ。

審査官の教育については、座学を半年やったのち、1年間のOJTとのこと。その後の審査についても、triple checkといってbuddyがまず調査の方針をチェックして、その後偉い人が更にチェックして、常に計3人が見る仕組みになっている。正直ここまで丁寧に審査をしているとは思わなかった。

審査官との面接について尋ねたところ、歓迎するけどまだ一件しか申し込みがないそうだ。メールアドレスしか書いてないのであまり歓迎していないのかと思ったがそうではないらしい。なぜ面接をしたいかという理由を添えてメールを出すと、電話や面接のアレンジをしてくれるそうである。

審査官のうち4人に1人が中国語を使えるので、中国語文献の調査をアピールしていて、出願前調査で中国語調査をするサービスを検討中らしい。まだ需要がよくわからないので、実際に始まるかどうかはわからないけれども。

ちなみに審査官はEPOでの訓練を受けているので、そういうスタイルの審査になるそうだ。使用するデータベースは大量に列挙されていたが何でもありな感じ。STNとかIEEEとか言ってたけど忘れてしまった。皆が博士号を持っているからというのもあるが、引用文献に特許ではなく論文が出てくることが少なくない。

そんなわけで、シンガポールの審査官の質は上々と言っても差し支えないと思う。