シンガポール知財ブログ

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シンガポールの特許審査ハイウェイプログラム

昨年8月に転職して以来、つい最近まで内外案件ばかりで外内案件がすっかりおろそかになってしまった。明細書を書いたり、USのOA応答をしたりすることには慣れてきたが、やっていないとシンガポールの細かい手続きの記憶が薄らいでいく。今月末・来月末に辞める同僚からたくさん外内案件を引き継いだので、今後は前の会社でやっていたような外内案件もやることになる。来週会社との3年契約にサインするので、これまで以上に腰を据えてシンガポールの特許と関わることになるはず。

今日ここに書いておきたいと思ったのは、昨年大きく変わった特許審査ハイウェイ(PPH)プログラムのことだ。特許庁のホームページがこっそり変わっていて最近まで全然知らなかったが、また一つシンガポール普通の国に近づく変更をした。

Patent Prosecution Highway (PPH)

基本的にシンガポールの審査ルートは2つある。

  • 実体審査を行う
  • 方式審査のみを行う

2014年11月まではシンガポールでPPHというと方式審査に属していた。例えば日本で既に特許になっている請求項を利用する場合には、日本の特許の翻訳文を送って方式審査を求める際に、PPHというチェックボックスにチェックをする。正直無意味なシステムだった。チェックボックスにチェックをしてもしなくても日本の特許の請求項を出して方式審査するだけだから。

それが2014年11月にシンガポールがグローバルPPHに加入して大きく変わった。シンガポールのPPHは実体審査に属することになった。他の国では当たり前のことだけど、シンガポールでもそうなったのである。これまで通り日本の特許の翻訳文を送って方式審査を求めることも可能だが、それをもうPPHとは呼ばなくなった。特許庁がいまいちやる気ないのか、無意味なチェックボックスはまだ残っているが、上記のPPHのページの説明を読む限りPPHは実体審査請求と共に行うものとなっている。

日本の審査結果を使ってシンガポールで特許を取りたい出願人には2つの選択肢がある。

  • 日本の審査結果を用いたグローバルPPH(実体審査あり)
  • 日本の審査結果を用いた補充審査(方式審査のみ)

どちらが早くて安いかといえば、もちろん実体審査をしない方が早くて安い。PPHを使えば実体審査をした分だけ遅くなるしお金もかかる。その辺は出願人のニーズによりけりである。ただ、近頃のIPOSを見ているとあと5年か10年したら方式審査のみのルートは消えそうだ。消したがっているけど、消すと影響が大きいので過渡的に残しているルートなのだろう。

そんなわけでシンガポールの代理人に指示を出すときは、実体審査をしたいのかしたくないのかはっきり明記すると誤解がなくていいと思う。