シンガポール知財ブログ

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シンガポール、WIPOによりPCTの国際機関に指定

試験も終わり、たまたま言及されたのでこの話題。

シンガポールが自前の特許庁で審査を始めるようになったのは今年(2014年)2月14日の法改正後です。それまでは自己査定制度※をとっていて、自国の特許庁で審査をすることはありませんでした。

この表現は正確ではない。法改正前から、シンガポール特許庁の自前の審査報告書が何件か出ていた。前の年の12月で既に少なくとも3件はあった。


より正確に言えば、まだ全件をシンガポール国内で審査しているわけではなく、オーストリアデンマークハンガリーシンガポールを加えた4カ国のいずれかの国で審査される。現在シンガポール国内の審査官は40人体制だが、2020年までに審査官を200人に増やし、近いうちに全件シンガポールで審査する計画である。来週仕事でIPOSの人に会うので、その辺を少し聞いてみよう。

要するに、自己査定制度と自国審査は関係なく、むしろこれまで審査の外注をしていたので、自国で審査をした実績があまりないということである。むしろ本題はこちら。

このような中、国際出願のサーチがすぐにできるようになるんででしょうか?

これはできると思う。イギリスとオーストラリアと中国の経験豊富な審査官を引き抜いてきて、審査基準を定め、新たに採用した博士号持ち審査官をEPOとJPOで既にトレーニングしているから。

シンガポールで審査した拒絶理由通知をいくつか見たが、基本に忠実にけっこう丁寧に審査しているという印象を受けた。案件が多くて溢れかえっている国で審査するよりもこちらのほうがよほどいいのではないかと思うくらいだ。調査が英語と中国語で行われるというのも、他にはない特徴だろう。

あと早期審査を希望すれば、審査請求から60日以内にFirst actionが出るし、PPHでシンガポールの審査結果を多くの国で利用できるので、これまでと比べてシンガポールが非常に利用価値のある国になってきている。

むしろ驚いたのは、マレーシアやフィリピンもシンガポールに続いて資格獲得を目指していると記事に記載されていたことです。

元記事を読んでいないのだが、マレーシアはまだしも、フィリピンはないなあと正直思った。フィリピンは、審査請求しているのに他国の結果を出せというしょうもない通知を何度も送ってくる本当にやる気のない国なので、まともに審査できるとは思えない。まあ目指すだけならだれでもできるか。

マレーシアの審査官には来月研修で会うのでその辺を聞いてみてもいいかもしれない。5月に会ったときは、まったり在宅勤務していてなかなか優雅な感じだったが。

そんなわけで何が言いたかったかというと、国際調査機関になるのはそんなに楽じゃないし、シンガポールは数年かけて着々と準備を進めてきたということ。

特許法ができてまだ20年しか経ってないのにここまで来たというのは正直驚異的としか言い様がない。この調子でどこまで行くのかを間近で見たいからこの国で働いているのかもしれない。

どう書いてもポジショントークにしかならないな。関連記事を翻訳して会社のサイトに上げているのだが、完全に宣伝になってしまうのでリンクするのはやめておこう。