シンガポール知財ブログ

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自己査定制度とは何だったのか

自己査定制度(self assessment system)とは、出願が特許され得るものかどうかは出願人自身が判断するという制度。でも無審査だったわけではなく、どこかで審査されていることが要求されていた。

自己査定制度ですら特許されないもの

  • 公序良俗違反(最初の方式審査ではねられて公開すらされないはず)
  • 他国の審査結果において、請求項が不明確で審査が行われなかったもの
  • 他国の審査結果において、請求項に単一性がなく一部の請求項しか審査されなかったもの
  • 対応外国出願の請求項に対応していないもの

ISAでも他国の審査官でもいいが、とにかく誰かがなんらかの審査をしている必要があった。あんまり変なのを出すと、deficiency letterがやってくる。対応外国出願よりも請求項が増えちゃったりすると、まず間違いなくどの請求項がどの請求項に対応しているか説明せよって言われる。

この制度のいいところは、出願人が自信を持って審査官がおかしいと言えるときに、その審査官を説得しなくても特許が取れるというところ。そもそも審査官がOKと言ってても裁判でひっくり返ることがあるわけで、審査官の判断は絶対ではない。その辺りの白黒はっきりさせるのは裁判所でやりましょうというのが、この自己査定制度の根幹にあるものである。そこらへんの判断をすべて裁判所に委ねるという割り切りから生まれた制度である。

しかし、特許庁でもある程度ちゃんと審査をしよう、全部裁判所に委ねるなんてのはよくないと言って始まったのがpositive grant system。特許性の三要件を見るようになった。すなわち

  • 新規性
  • 進歩性
  • 産業上利用可能性

の3つである。少しずつ普通に近づいていくシンガポール特許制度。

この記事で言いたかったのは、自己査定制度でも特許庁は少しは形式上のチェックをしていたよということである。